【欲しい人材No.1】企業が求める「コミュニケーション能力」とは

毎年、経団連が行っている「新卒採用に関するアンケート」によると、「企業が選考で重視した点」は「コミュニケーション能力」が最も多い(16年連続で1位)。
これは、企業がビジネスにおいてコミュニケーションを重視していることを示している。

実際、仕事はコミュニケーションによって成り立っている。
職場では、連絡、報告、相談、交渉、会議が頻繁に行われ、そこには「本人の意思表示」と「相手が話す内容の理解」が欠かせない。

ところが、この能力には個人差がある。
「コミュニケーション能力」が高い人もいれば、低い人もいる。
しかし、企業は単純に「コミュニケーション能力」の高さで採用を決めているわけではないことに注意しなければならない。

それでは、企業が求めるコミュニケーション能力とは、いったいどういうものか。
そして、コミュニケーション能力を高める方法について、解説しよう。

 

コミュニケーション能力とは

私たちの日常生活に、コミュニケーションは欠かせない。
コミュニケーションは、すべての社会活動の基礎であり、人と人、人と社会をつなぐ重要な役割を果たしている。
しかし、コミュニケーションが持つ「脆弱性」を理解している人は少ない。

 

コミュニケーションとは

コミュニケーションは、自分の意志を伝えたり、相手の意志を受け取ることで成立する。
しかし、このどちらも正確に行うことは難しい。

・発信時の問題
まず、自分の意志を伝えるための言葉の選び方に問題がある。

自分の意志を伝えるためには、自分が置かれた状況や、自分の感情を伝えるために、正確に言葉を選ばなければならない。
ところが、これらを正確に言い当てる言葉が存在するとは限らない。
さらに、正確だと思って選んだ言葉も、その人の価値観や認識が大きく影響した可能性がある。

例えば、医者に診てもらうときに、どのあたりがどのように痛いのかを正確に伝えることは困難。また、感情を伝えるにも感情は複雑に絡み合っているため、これも正確に伝えることも困難。
その他、少しぶつかっただけなのに「痛い!」と叫んだり、釣りで逃がした魚を大きく見積もったりする。

このように、自分の意志を伝えるためには言葉を選ばなければならないが、正確さには限界がある。

・受信時の問題
次に、相手の意志を受け取るときの解釈の仕方にも問題がある。

相手の意志を受け取るためには、相手の発した言葉を正確に受け取らなければならない。
しかし、相手の言葉を正確に受け取れるとは限らない。

例えば、海水浴場で「溺れる!助けて!」と必死に叫ぶ人がいても、そこが水深1メートル程度だったら、ふざけて遊んでいるようにしか見えない。
また、「例のアレ」とか「先週のアレ」で話が通じない時もあるし、誤解してしまう時もある。

このように、相手の意志を受け取るためには言葉を正確に受け取らなければならないが、限界がある。

 ・コミュニケーションとは
コミュニケーションは言葉を通じて行われるが、個人によって価値観が異なるため、言葉が持つ意味は個人ごとに微妙に異なる。
また、個人が置かれた状況、立場も異なるため、視点や認識の違いが解釈の違いを生む。

しかし、コミュニケーションにおいては、お互いにこの認識のズレをひとつひとつ確認や修正をするわけではない。
その結果、意思を伝える時と、相手から意志を受け取る時のダブルで認識のズレを含んだままである。

こうして、正確なコミュニケーションは原理的に不可能。
私たちは普段、何気なくコミュニケーションをとっているが、実は常に綱渡り状態なのである。

 

コミュニケーション能力とは

コミュニケーション能力とは、自分の意志を伝えたり、相手の意志を受け取れる能力のことである。
つまり、この能力が高い人ほど、自分の意志を正確に伝えたり相手の意志を正確に受け取ることができる。

例えば、相手に遠慮なく自分の気持ちを伝えたり、正確に状況を伝えることができる。
また、相手の話を素直に聞いたり、誤解することなく解釈できる。
要するに、会話がスムーズに進む、というわけである。

コミュニケーション能力は、誰もが持つ能力である。
しかし、この能力が低い人もいる。

彼らは、自分の意志を伝えることに消極的で、何があっても黙っている傾向がある。
また、他人の意見に耳を傾けることが苦手だ。

この能力の違いは、育った環境による影響が大きい。
例えば、家庭や学校での教育において、子供が意見を述べることに寛容であったり、無下に否定や拒絶されない環境ができていれば、子供は自由に意見を述べ、相手の話をしっかり聞く習慣が身につく。

逆に、子供に意見を述べさせない、あるいは述べてもそれが受け入れられない環境で育つと、子供は発言を自粛するようになるし、相手の意見を尊重しなくなる。

こうして子供の頃に身についた習慣は、やがてコミュニケーション能力として定着する。
つまり、コミュニケーション能力の高さは、生まれ持った素質や遺伝で決まるのではなく、育った環境によるところが大きいのである。

 

企業が求めるコミュニケーション能力とは

長引く不況により、企業の仕事に対する効率の意識は、年々高まっている。
職場におけるコミュニケーションは、これを実現するために行われている。

 

・職場で求められるコミュニケーション能力

理想的な仕事の進め方は、社員全員が最小の努力で目標を達成することである。
しかし、私たちにはそれぞれに思い込みがあり、また目の前の仕事に集中することから、見落としや誤解はどうしても避けられない。
そこで、コミュニケーションは重要な役割を果たす。

まず重要なのは、指示の内容や会話の内容を正しく理解できること。
これができなければ、仕事は間違った方向に進んだり、無駄なやり方をしてしまう。
これらは大きなロスを生み、最悪な場合、計画の見直しにまで発展しかねない。

次に、報告・連絡・相談・会議に積極的であること。
こうした場を設け、他人のチェックを入れてもらうことで、仕事の方向性を正しく維持できる。
仕事ができる人ほどこまめに報告・連絡・相談を行うのは、このためである。

さらに、相談や会議の場で発言できること。
相談や会議の場では、クリエイティブな発言が歓迎される。
重大な見落とし、問題の本質、新しいアイデアを指摘することは、仕事にかかるコスト(時間、エネルギー)の削減に役立つ。

 

・選考の場で求められるコミュニケーション能力

選考の場で採用担当者が見ているコミュニケーション能力は、もう少し基礎的な部分である。
つまり、優秀かどうか、積極的かどうか、人柄や顔色よりも、「相性」を重視する。

個人には個性がある。各個人それぞれに知識や経験、性格、信念などを持っている。
一方、会社にも個性がある。歴史、文化、伝統が会社独自の風土を作っている。

この両者の相性が悪ければ、離職率は高まるし、現場も混乱する。
さらに、また人材確保をしなければならなくなる。これらは大きなロスとなる。

そこで、採用担当者はこの両者の相性をよく観察し、マッチするかどうかを判断する。
要するに、話しやすいかどうか。話がかみ合うかどうか、を見ているのだ。
これを便宜上、コミュニケーション能力としているわけである。

そして、相性は直接話してみなければわからない。
新卒、中途採用の際に必ず面接の場が設けられるのは、こうした理由からである。

 

コミュニケーション能力が低いことによる影響

職場では活発にコミュニケーションが行われるため、影響は様々な形で現れる。
特に気を付けなければならないのは、本人には自覚できない「見えない影響」である。

・信用を失う
同僚が困っている時、あなたの知識や人脈で助けることができたのに、これを見過ごしてしまうと、その同僚から「見捨てられた」と思われ、あなたへの信頼が揺らぐ。

・評価を下げる
会議中、いつも黙っていると、「聞いていない」とか「考えていない」とみなされ、ついには「やる気がない」と見られかねない。

・仕事が増える
ひとこと聞けば済むことを聞かないと、自分で調べるところから始まるため、仕事が増える。
また、仕事の依頼や交渉が苦手だと、仕事が進まなかったり自分でやる羽目になり、仕事がたまる。

・給料が減る
自分に対する評価を低く見積もられた時に抗議しないと、評価も地位も低いままである。

・成長できない
自分にふさわしい仕事を見つけても、これにチャレンジする意思を伝えることができなければ、あなたは自分ふさわしくない仕事でくすぶり続けることになる。

以上、職場でコミュニケーション能力を発揮できないと、周囲の期待を裏切ったり、自分の未来の可能性を閉ざしてしまったりする。
言うべきかどうか、聞くべきかどうか迷った時は、みんなのためにも自分のためにも、一歩踏み出すべきである。

 

・詳しく:【黙るな危険!】コミュニケーション能力が低いことによるデメリット

 

コミュニケーション能力を高める方法

職場ではコミュニケーションが重要とは言え、苦手な人もいる。
彼らが、言うべきを言えない、聞くべきを聞けないのは、コミュニケーションを取る前に大きな不安が立ちはだかるからである。
コミュニケーション能力を高めるためには、この不安を取り除けば良い。

 

思い込みを取り除く

コミュニケーションが苦手な人は、「言ってはいけない、聞いてはいけない」という思い込みを持っている。
しかし、その思い込みは間違っている。

誰でもいつでもどんな状況でも、言いたいことは言っていいし、聞きたいことは聞いていい。
仲のいい同僚や友達と気兼ねなく話す調子で、職場の同僚と接するようにしよう。

 

完璧を目指さない

どんな意見や主張にも、必ず未確認の部分や不確定な要素を含む。疑いだしたらきりがない。
コミュニケーションが苦手な人は、ここをつつかれそうで怖い。だから声を出せない。

これからは、認識を変えよう。
意見を述べることで大切なのは、完璧かどうかではなく、意見を述べる事そのものである。

言いたいことを言い、聞きたいことを聞くことで初めて自分の存在をアピールできる。
出勤や退勤時に同僚に挨拶する調子で、言いたいことを言い、聞きたいことを聞こう。

 

最悪な事態を想定する

コミュニケーションが苦手な人は、言った後、聞いた後に怒られそうで意見を飲み込んでしまう。
しかし、それは本当に怒られて済む問題なのだろうか。

もしかしたら、仲間の期待を裏切り、チームの不和を作り出してしまうかもしれない。
あるいは、会社として大きな損失を出してしまったり、チームとして計画見直しをせざるを得なくなるかもしれない。

このように、最悪な事態を想定し自分を追い込むことと、発言をしやすくなる。
あなたは、みんなのためにも、会社のためにも、黙ってはいけないのである。

 

・詳しく:コミュニケーション能力がない人のための「超」仕事術

 

まとめ

人間にとってコミュニケーションは重要である。
コミュニケーションが文明や文化を発達させたと言っていい。
その重要性は今も、これからも変わらない。

社会が人間によって作られている以上、社会活動にはコミュニケーションが要る。
特に職場では、その重要度は高い。なぜなら、一人ひとりのコミュニケーションが経営に直結するからである。

そんな中、コミュニケーションが苦手で職場で辛い思いをしている人もいる。
言ってはいけない、聞いてはいけない、という思い込みを持った人たちだ。

しかし、その思い込みは間違っている。
あなたに考える力と表現する力がある限り、自分の考えを発信し続けるべきである。
それが、本質的な意味でのコミュニケーション能力を持つ者の使命なのである。

 

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