会社で働く社会人のほとんどが、会社に対して何らかの不満を抱いている。
仕事の内容、労働条件、不当な待遇、経営不振、業界の低迷、職場の人間関係などなど。
不満を挙げればきりがないが、結局は現職を続けている人がほとんどだ。
私たちは、いざ仕事を辞めようと思っても、なかなかその決断を下すことができない。
なぜなら、実際に辞めた後に予想される様々な事態に不安を感じるからだ。
その一方で、あっさり仕事を辞めていく人もいる。
彼らは決してバカでも勇敢でもない。ただ、仕事を辞めるきっかけをつかむことができただけである。
それでは、転職を決断した人が仕事を辞める決断をしたきっかけとはどのようなものだったのか、解説しよう。
仕事を辞めるきっかけとは
仕事を辞めるきっかけは各個人により様々だが、一般的には現職に対する不満である。
はたして、どんなきっかけが仕事を辞める決断をさせたのだろうか。
仕事を辞めるきっかけの実例集
実際に転職をした人の仕事を辞めるきっかけとなったものは、大きく分けて2つある。
「現職への不満」と「自己実現」である。
①現職への不満
現職に対する不満が限界を迎えた時、それが辞めるきっかけとなる。
- 給与や福利厚生への不満
- 職場の人間関係
- 上司や経営者への不満
- 労働時間・労働環境への不満
- 仕事内容への不満
- 業界・会社の将来性に悲観
- 経営方針・社風との不一致
- 評価への不満
- 勤務地に不満
②自己実現
現職を続ける事よりも新しい可能性を信じることができた時、それが辞めるきっかけとなる。
- キャリアアップ
- 夢や目標の実現
いずれのケースでも共通して言えるのは、「未来を変えたい」という強い思いがあったこと。
転職をした人は、その思いに突き動かされる形でごく自然に辞める決断ができたのである。
仕事を辞める決断ができた人とできない人の違い
多くの人が辞めることができない中で、ごく一部の人だけが辞めていく。
どちらも職場に対する不満を抱えているはずなのに、この違いはどこから来るのだろうか。
選択の法則
人間には、身の安全を確保しようとする本能のようなものがある。
この機能により、私たちは選択に迫られた時、思いつく選択肢のうち「最も不安を感じない選択肢」を選ぶようにできている。
その結果、私たちは基本的に、「現状維持」を選ぶ。
こうした例は身近で多く見ることができる。例えば、
- 時代の変化に対応するよりも、これまでのやり方を固辞しようとする経営陣
- 実績がない、ノウハウがないからできない、やりたくないと言い張る無能社員
- 今まで築いてきた友情が壊れるのが怖くて、好きな人に告白できないヘタレ
- いろいろと心配しすぎて、結局一度も海外旅行に行ったことがないビビリ
こうした人たちが後を絶たないのは、現状を変えることに不安を感じているからである。
たとえ現状にどんな不満を抱えていても、人は環境を変えるリスクを選ばないのだ。
ところが、法則に反し、現状を変える選択をする場合もある。
それは、「現状を変える不安」よりも「現状を変えない不安」が上回った時である。
仕事を辞める決断をさせるもの
仕事を続けているということは、仕事を辞めることに不安を感じているからである。
この時に感じる不安は多岐にわたる。例えば、
- 転職の進め方がわからない
- 面接でどのように答えるべきかわからない
- 面接で訴えるべきアピールポイントがわからない
- 新しい職場で活躍できるか不安
- 新しい職場に馴染めるか不安
これらの不安要素が一気に襲い掛かり、「リスクが高すぎる」と感じ、仕事を辞める考えを止める。
一方、仕事を辞める選択をした人は、逆のことが起こっている。
つまり、あるきっかけで仕事を続けることのデメリットに気づき、続けるリスクが高いと感じた時、仕事を辞める決断をする。
仕事を辞める決断は、悩んで悩んで結論を出すタイプのものではない。
単純に、仕事を続けるデメリットに気づいたかどうかで決まるのである。
仕事を辞めるためには
仕事を辞める決断には、仕事を続けるデメリットに気づかなければならない。
そのためには、自分が目指す働き方を知っておかなければならない。
なぜなら、仕事を辞めるべきか続けるべきかの判断は、自分の目指す働き方に照らし合わせて、是か非かを判断するものだからだ。
もしかしたら、仕事を辞める決断ができず、ズルズルと現職を続ける人は、自分の目指す働き方を確立できていないからかもしれない。
それは楽な働き方かもしれないが、同時に、本当に辞めるべきタイミングを見失うことにもなるのである。
仕事を辞めるきっかけをつかむ方法
仕事を辞めるべきかの判断を正確で確実なものにするために、あらかじめ自分の目指す働き方や生き方を明確にしておく必要がある。
なぜなら、仕事を辞めるきっかけは、見逃してしまいそうなほど些細な出来事だからである。
ステップ① 自分と向き合う
まずは、自分の信念、価値観を明確にしておくことが重要である。
そこで、これらを明確にする質問を用意した。はたして明確に答えられるだろうか。
質問① 生きる上で大切にしていることは?
質問② 人生をかけて目指しているものは?
質問③ これまで貫いてきた信念は?
質問④ 一番失いたくないものは?
なかなか答えることは難しいかもしれないが、この際、これまでの人生を振り返り、今まで何を大切にして生きた来たのかをおさらいしておこう。
信念こそ人生の軸である。
そして、それこそが人生全ての瞬間における判断の基準になる。
もちろん、仕事を辞めることもその中に含まれるのである。
ステップ② 仕事と向き合う
次に、仕事に対する信念を明確にしよう。
さて、下の質問に答えられるだろうか。
質問⑤ 人生の中で仕事はどのような位置づけなのか?
質問⑥ どういう理由で今の会社、今の仕事を選んだのか。
質問⑦ どういう理由で今の会社、今の仕事を続けているのか。
働く意義、働くことで得られているもの、今の仕事に満足している部分とは何だろうか。
仕事で得られる対価はお金だけではないはずだ。
仮に、上の質問に答えられなくても問題はない。
生きるためにただ働いているだけだ、という考え方もあって良い。
だが、そういう人は仕事を辞めるべきかどうか悩む必要はない。
なぜなら、そういう人はどの職場に行っても働く喜びを感じられないからだ。
ステップ③ 仕事を辞める以外の選択肢は?
仕事を辞めることの人生に与えるインパクトは大きい。
その影響を考えると、仕事を辞めるという選択肢は最後の手段であるべきである。
そこで質問。
質問⑧ 辞めずに済む方法は本当にないか、それはすべて試したのか。
やり残したことがあるうちは、決断はできない。
しかし、すべてやり切った後なら、それがどんな判断であれ後悔することはない。
まとめ
仕事や職場に強い不満を感じたら、誰もが辞めたいと思う。
それが社会人の本音。
しかし、仕事を辞めることが大事なのではない。
果たして、本当に、仕事を辞めることが必要なのかを知ることが大事。
あなたが仕事に不満を感じた時、仕事を辞めたい時、あなたは問われている。
- 人生をどのように生きたいのか。
- 会社でどのように働きたいのか。
自分の信念を明確にし、それをもとに判断することが何よりも大切。
それができている限り、仕事を辞めようが続けようが、その判断は正解なのである。