【実体験】転職の決断から内定までの経緯まとめ

多くの社会人がそうであるように、私も会社には不信と不満だらけだった。
非現実的で能天気な経営方針と売上計画、毎年のように変わる組織編制、他部署からの差別的な扱いと非協力的な態度、言動からにじみ出る上司の人間性、圧倒的仕事量、高まる要求、残業規制…
毎日が呆れることと疲れることの連続で、私はこの会社で働くことにうんざりしていた。

さらに、勤務地にも大きな不満があった。
当時の勤務地は北陸地方にあり、太平洋側育ちの私には日本海側の気候はどうしても肌に合わず、この地に住んでいる間ずっと気分が晴れることはなかった。

特に私を苦しめたのは冬である。
北陸地方は世界有数の豪雪地帯で、冬の間はずっと雪が降り続く。おかげで私の車は頻繁に身動きが取れない状態に陥った。
そのたびに私は天と運命を呪い、「絶対こんなところ出て行ってやる!」という思いを強くした。

 

私が転職を決めたきっかけ

これだけ不満があったにもかかわらず、転職に踏み出すことはなかった。
なぜなら、仕事の内容には満足していたからである。

私が就いていた「開発」という仕事は、毎日が挑戦と失敗の繰り返しだが、そこにはいつも新鮮な発見や感動があり、飽きることのない楽しい業務でもあった。
また、「開発」は学生時代からの憧れだったので、その夢を実現できているという実感は私の誇りであり、つらい毎日を耐える精神的な支えでもあった。
しかし、その唯一ともいえる心の支えが崩れることになった。

ある日、全社員を集めた説明会で会社の売却と今後の方針についての報告があった。
新しい社長、新しい体制、新しい仕事へと何もかもが変わることになり、開発という仕事も消滅することになった。
変わらないのは勤務地だけである。

私は転職を決意した。
「ここにいる意味がない。」と悟ったのである。

 

転職活動中の失敗

ついに始めることになった転職活動だが、失敗の連続だった。
終わってみれば、活動期間は約7か月。応募社数15、書類選考通過5社、内定1社。
これほど活動期間が長引いてしまったのは、私が35歳という年齢だったからではない。
単純に進め方が下手だったからである。

 

失敗その① 転職サイト選びを間違った

私は転職を決意後、まずはネットで情報を集め始めたが、そこにあったリンク先をたどる形で転職サイトにたどり着き、そのまま登録した。
転職サイトなど、どこでも同じだと考えていたからである。

しかし、転職活動において転職サイトは、かなり重要だ。
転職サイトは目的地に向かう車、担当者は内定まで案内するナビのようなものだ。
転職サイト選びを間違えば、内定までのスピードも内定先もまるで違ったものになってしまう。

それほど重要なものだと気づいたのは、転職活動の中盤になってからだった。
結局、もう1つの転職サイトにも登録することで可能性を広げ、活動のスピードも上がった。

 

失敗その② 活動初期はのんびりしていた

転職活動を始めたころは、あまりにもスローペースだった。
希望の1社に応募書類を送って結果を待ち、結果を受けてから次の企業に応募する、という進め方をしていた。

しかし、転職経験者である友人から、この進め方を指摘された。
転職活動は常にパラレルで進めるべきで、担当者にはどんどんプッシュして暇にさせてはいけない、と。

転職活動はその性質上、1人で進めることになる。
だから周囲の誰とも比較、相談することもできないため、自分のペースが異常であることに気づくことは難しい。

 

失敗その③ ネットや本の情報に依存しすぎた

ネットや書店には、転職活動に関する記事や書籍が多数ある。
私はこうしたものを一生懸命に読み、自分の活動に活かそうとしていた。

だが、ここには落とし穴があった。
これらは不特定多数の人に向けて書かれた一般論であって、最適解ではないのである。
つまり、受かる情報ではなく、落ちない情報である。
こんなものいくら勉強しても、希望の会社に転職することはできない。
希望の会社に受かるためには、突出していなければならないからだ。

私はエンジニアとして転職することをすっかり忘れていた。
私に必要だったのは、自分の実績やスキルをアピールする訓練であり、
応募した会社の業界の様子、経営状態や経営方針、転職理由や志望動機の答え方の勉強ではなかったのだ。

 

転職成功に必要なもの

転職活動は紆余曲折あったが、最終的には希望の仕事に就くことができた。
さらに年収もこれまでより100万円アップし、新しい勤務地にも満足で転勤の可能性もない。
成果は期待以上。私はこの転職で欲しいものをすべて手に入れた。まさに大成功だった。

これほどの成功をつかむことができたのは、私が突出した実績や高いスキルを持っていたからではないし、口が達者だったからでもない。人脈やコネがあったからでもない。

 

初心を忘れるべからず

転職活動は、内定が出るまで負けが続く。
つまり、何度も不合格通知と対面することになるが、その精神的ダメージは大きい。

まるで、自分自身を否定されたように感じ、ひどく落ち込む。
生活の大半を仕事に費やし、懸命に努力した全てをアピールした結果が「不合格」なのだから、社会人としての資質を否定されたように錯覚してしまうのだ。
これが数回程度なら気持ちを立て直すことは難しくないが、連続すると次第にそれが困難になっていく。

やがて、その苦しさから早く解放されたいという思いから、応募条件を妥協したり、転職活動を止めてしまう人もいる。
それは、転職の失敗を意味する。
しかし、転職の目的がしっかりしていればこうした事態を回避できる。

私も、連続する不合格通知に苦しんだ。
それを目にするたびに「社会人失格」と言われている気がして、情けない気持ちと惨めな気持ちに襲われた。そして、何度も希望の条件を妥協しそうになった。

しかし、それはできなかった。
妥協した条件で内定した会社で働く未来を想像したとき、寒気がした。
どうしても受け入れられなかった。だから、希望の条件は絶対に下げられなかった。

また、転職の目的が明確だったおかげで、モチベーションを回復させることができた。
どんなに惨めな思いに苦しめられても、落ち込んでばかりはいられない。前に進まなければ、私はこの不満だらけの職場で人生を終えることになる。それは最も避けるべき事態であった。

こうして私は最後まで、内定獲得のための安易な道を選択しなかった。
人生をかけて戦いを挑んでいた。これは大げさな表現ではない。

 

ポジショニング

究極的には、転職活動は説得力の勝負になる。
転職は就職と違い、採用の枠は1名であることが多い。

だから、「無難」とか「良い印象」を目指していたのでは絶対に勝てない。
その場の空気を支配し、面接官を圧倒し、ライバル達を引き離して優勝しなければならない。
そこで重要になるのが、ポジショニングである。

応募者は、ライバルはもちろん、面接官よりも上に立たなければならない。
なぜなら、自分を下に置いた瞬間に目線(意識)が低くなり、詰めが甘くなるからだ。
それは面接の質疑応答だけでなく、職務経歴書や履歴書作成の時点で露呈する。

そこを採用担当者は見落とさない。もちろん減点の対象になる。
本来ならライバル達から抜きんでて優勝しなければならないのに、これでは優勝が遠のいてしまう。
だから、絶対に自分を下においてはならない。

私は、誰よりも上に立つ者として恥ずかしくない行動をとらなければならなかった。
職務経歴書はもちろん、面接の質疑応答の準備、手書きの履歴書に至るまで、丁寧に作りこみ、面接でも堂々とふるまった。

説得力は、声の大きさや言葉の言い回しなど、表面上のテクニックで作られるものではない。
完璧を目指して本気で取り組んだものにしか作り出せない空気感が説得力となって、面接官を圧倒するのである。

 

決断

上に挙げた2つは、いずれも自分の仕事観が明確になっていれば自動的に生まれるものだ。
何のために働くのか、働くことで何を得たいのか。自分の人生にとって仕事とは何か。
これらが深掘りされていれば、転職は人生をかけた絶対に負けられない戦いになる。
そして、その覚悟が自分の潜在能力を引き出し、成長させる。

私は、転職を決断するまでは自分に自信が無かった。
だから挑戦しなかったし、そんな自分と向き合うのが嫌で考えることすら拒絶していた。
しかし、転職を決断したとき、何もかもが変わった。
そんな迷いはどこかに行ってしまい、まるで考え方が逆の人間に変化した。

「やるしかない。」「勝たねばならない。」
この思いが、転職が成功することを前提とした考え方に変えたのである。
だから、モチベーションを高く維持できたし、自信満々のドヤ顔で面接に臨んだ。

そもそも、仕事観が明確でなければ転職を決断することもなかった。
私が仕事を適当に考えていたら、今ごろ不満だらけの職場と勤務地で人生を消耗し続けていたに違いない。

以上、転職成功の本質は、個人の持つ仕事観にあるのである。

 

転職後記

転職活動は、希望した企業から内定をいただくことで終了する。
今度は、転職活動で散々訴えてきた自分の即戦力を証明しなければならない。
むしろ、内定後が本番と言っていい。

私が実際に転職してみて感じたことは、転職前に感じていた不安は考えすぎによるものだったということだ。
私が転職を決断する前までは、転職を何かとても恐ろしいもののように感じていた。

仕事についていけるだろうか、職場が怖い人たちばかりだったらどうしよう、
面接でうまく答えられる気がしない、アピールできる実績もない。

しかし、これらは全て的外れだった。
新しい職場では、想像より丁寧に仕事を教えてもらえたし、周囲には驚くほど温和で協力的な同僚ばかりである。
転職活動についても前述の通り、転職成功を前提として取り組めば、不安など吹き飛んでいた。
私は拍子抜けした。こんなことならもっと早く転職するべきだった、と。

人間は、未知のものに対して不安や恐怖を感じる傾向がある。そして挑戦を避けてしまう。
私も転職したかったが、ネガティブな想像ばかりして挑戦する気持ちにフタをし、不満ばかりの職場と勤務地に自分を押し込めていた。

転職に踏み出せない人たちは、誤解しているのだ。
実力がないから、不安だから、転職を決断できないのではない。
転職を決断していないから、そう感じるのだ。

自分の仕事観に基づき、転職しなければならない理由に気づいた時、すべてが変わる。
転職は内定までの戦いではない。新しい人生を始める分岐点なのである。

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