社会人にとって仕事のモチベーションを上げることは、働く上での重要なテーマの一つである。
朝から晩まで高いモチベーションを維持することができれば理想的だが、その実現は困難である。
現実的には、目の前の困難な仕事にやる気を失いかけたり、朝から元気が無かったりするが、何とかモチベーションを引き上げて、この困難な状況に立ち向かわなければならない。
しかし、モチベーションとは何かを理解して自分の仕事に取り込めば、モチベーションをコントロールすることは可能である。
それでは、モチベーションとは何か、モチベーションを上げるにはどうすればいいのか、解説しよう。
仕事とモチベーション
モチベーションとは、困難を突破する原動力である。
働く上でとても重要であり、仕事に対する姿勢はモチベーションで決まると言っていい。
・モチベーションが高い状態
たとえどんなに複雑で困難な仕事でも、果敢に挑戦することができる。
コミュニケーションが活発で、情報伝達が素早く的確かつ最小限。
集中力が持続するため、見落としやミスを発生しない。
・モチベーションが低い状態
困難な仕事に対し、ネガティブ要因を探しだして着手を避ける。または遅らせる。
コミュニケーションが雑で、誤解や確認不足を生み、コミュニケーションエラーを発生しやすい。
仕事に手を抜きがちで仕事の完成度が低く、注意力も散漫で重大なミスを発生しかねない。
こうして仕事の成果は、モチベーションの状態によって明暗が湧けられる。
つまり、モチベーションの高低が、そのまま仕事ができる人と仕事ができない人に分ける。
いつもイキイキと元気に働き、成果も残す人材を目指すのであれば、モチベーションの維持が欠かせないわけである。
モチベーションとは何か
勘違いしてはいけないのは、モチベーションの高い人や低い人がいるわけではない。
モチベーションは、親からの遺伝や生まれ持った性格で決まるものではなく、その人の、その時の状態を示すものに過ぎない。
大まかに言ってしまうと、モチベーションの高さは、その人のその時の心身の状態を表している。
なぜモチベーションは下がるのか
例えば自分にとって解決不可能と思える仕事を任された時、一般的にモチベーションは下がる。
あるいは、深夜に及ぶ残業の末、ろくに睡眠時間も取れずに迎えた翌朝は、モチベーションが低い。
その他、仕事以外にもモチベーションを低下させる要因は、いくらでもある。
彼女に振られた、ケンカした、株で損した、車をぶつけた、雨で出社が面倒、風邪を引いた、など。
これらのモチベーションの低下は、心身の消耗によって生じている。
こうした事態をさらに悪化させるのは、ネガティブ思考である。
我々は心身を消耗すると、ネガティブ思考になりやすい。
困難な仕事の不可能性をクローズアップして、解決不可能だという確信を強めたり、仕事のやりがいや働く意義にも疑問を感じたりする。
こうしたネガティブ思考は、疲れた心身をさらに消耗する。
こうして一度ネガティブ思考を始めてしまうと、意識して思考を修正しない限り、そこから抜け出せない。
つまり、モチベーションは低下したままである。
仕事のモチベーションを上げるには
我々は、いつもモチベーションが低いわけではない。
例えば、好きな趣味に打ち込んでいるとき、好きな女性と付き合い始めたときなどは、モチベーションが高い。
多少仕事で疲れていても、週末の朝は早くからしっかり準備して出かけたり、好きな女性を喜ばせるためにありえない行動力を発揮する。
頭の中は非常にポジティブ。発想は楽観的で行動も積極的だ。
仕事のモチベーションを上げるには、このように好きなものに対する姿勢で仕事に臨めばいいわけである。
仕事のモチベーションを上げる方法
仕事のモチベーションを上げるには、視点を変えて今の自分が置かれている状況を捉えなおそう。
そこに仕事のモチベーションを上げるヒントが隠されているのである。
実現の可能性を探す
モチベーションが上がらないのは、ネガティブな部分に注目しているからである。
ネガティブな視点はネガティブな思考に繋がり、実態よりも過剰に仕事を難しく感じてしまう。
これが、モチベーションを下げる。
本当は、目の前に立ちはだかる困難な仕事は意外に簡単かもしれないし、複雑に見えても本質的には単純な構造かもしれない。
それに気付かないのは、実現の可能性から目を背けているからである。
これからは、ポジティブ要因、つまり実現の可能性に目を向けてみよう。
- 誰なら解決できそうか。何があれば可能なのか。
- 問題の本質は何か。困難に思わせている部分は一体何か。
- 前例はあるか。
こうした点に注目することで、意外な発見が出てくる。
「なんだ、これだけのことか。」「ここさえ押さえておけば大丈夫だ。」と、それまで仕事に抱いていた緊張感が一気に緩和し、「思ったよりも簡単そうだな」と思える。
こうして目の前の仕事に対するハードルが下がったとき、その仕事へのモチベーションが上がるのである。
デメリットを考える
どんな困難な状況に置かれたとしても、仕事のモチベーションをぶち上げる方法がある。
それは、仕事をしないことのデメリットを考えることである。
わかりやすい例がある。夏休みの宿題だ。
どんなに親に宿題をするように言われても無視。ところが夏休み終了直前になって活動的になる。
彼らが急に活動的になった理由は明白だ。
宿題をしないこまま夏休みが明けた場合の惨状をリアルに想像したからである。
そしてその惨状を避けるために、今できることに取りかかったわけである。
たとえ年齢を重ねたとしても、人間の本質は変わらない。
仕事のモチベーションが上がらなくて困っているときは、彼らを見習い、仕事を先送りした場合のデメリットを想像しよう。
そのヤバさに気付いた時、仕事のモチベーションは飛躍的に上がるだろう。ストレスと共に。
休む
頭は論理的思考によってのみ疲れるわけではない。
ストレスやショックに耐えたり、人間関係に気を使ったりすることでも同様に疲労する。
そして、疲れた頭ではネガティブ思考に支配されやすく、モチベーションが下がることになる。
仕事を気合や根性で乗り切るものと考えている人こそ、休むことの効果を再確認しよう。
これからは、モチベーションの維持のため、休むことを意識しよう。
仕事中こまめに休憩をはさむことで、脳の疲労蓄積スピードを遅らせることができる。
特別に休憩時間を設けることができなくても、トイレ休憩の短時間に頭を使わないとか、仕事の合間に数秒間目を閉じるだけでも、効果はある。
最も高い効果を期待できるのが、帰宅することである。
帰宅したら可能な限り仕事のことを考えず、脳の疲れを癒すことに専念する。
このようにしっかり脳を休めれば、翌朝はスッキリ。
いつものモチベーションも回復しているだろう。
仕事の意義を確認する
仕事の意義、働く意味を見失った時、仕事へのモチベーションは下がる。
この場合は、今一度、自分の仕事について広い視点で見直してみよう。
社会(世界)は企業活動によって成り立っている。
社会のニーズに対して会社がサービスを提供することで、お金が回り、国が動く。
そして企業の活動は、社員の活躍によって支えられている。重役が動かしているわけではない。
つまり、今の自分の仕事は、会社を支え社会の発展を支える形で世界に貢献している。
自分が苦労した分、努力した分、必ず社会に貢献できている。
つい、疲れた、モチベーションが上がらない、帰りたい、寝ていたい、などと嘆いてしまうが、それは個人的な一人の閉ざされた世界の中の話。
実際には自分と自分の仕事は、世界と直結していることを再確認しよう。
たとえそれがどんな仕事であっても、である。
まとめ
仕事に対するモチベーションを、自然現象のようにとらえていないだろうか。
モチベーションが高いから仕事がはかどる、モチベーションが低いから仕事が手につかない。
このような認識でいると、自分の仕事は自分のモチベーションに振り回される。
モチベーションの維持は、全社会人に共通する仕事の悩みだ。
だが、メカニズムを理解した上で適切な対応をすれば、モチベーションはコントロール可能である。
どうもモチベーションが上がらないというときは、自分と仕事に違った視点から向き合ってみよう。
そこに必ずモチベーションを上げるヒントが隠れているのである。