仕事が遅い。同じミスを繰り返す。段取りが悪い。資料作成も発表も下手。電話も交渉も苦手。そんな仕事ができない自分が情けない。マジ無能。今の仕事、向いてないのかな…。
仕事でミスをした時、自分のスキル不足を痛感した時、誰だって気分は落ち込む。そのまま自分のスキルや適性を疑い、転職を本気で考えることもあるかもしれない。
しかし、気分が落ち込んだままでは、仕事に対する集中力や積極性に欠け、それこそ仕事のパフォーマンスを下げることになる。そうした事態を避けるために、早期に気分を立て直す方法を身につけておこう。
それでは、仕事で落ち込んだときに自信を取り戻す方法について、解説しよう。
心が折れそうなときは、「視点」を変える
人の悩みは、重いものほど考えすぎている傾向がある。
- 仕事ができなさ過ぎて、情けない。
- 周りに迷惑かけてばかりで、申し訳ない。
- いつかクビになるに違いない。
という考えが頭から離れない人は、一旦、頭を冷やす必要がある。
まず、「仕事ができない」という思い込みは、たいてい間違っている。本当は「仕事ができない」のではなく、ちょっとミスをした、あるいはちょっと苦手な仕事がある程度の問題でしかない。
それをあなたは大げさにとらえ、あたかも自分のすべてがダメであるかのように拡大解釈してしまう。もちろん、これは大変な誤解である。
一旦、落ち着いてよく考えてみよう。今の自分を取り巻く環境や地位は、自分の意志や努力が上司や周囲の人々に認められることによって築かれたものだ。
これはまさにあなたが立派に仕事をこなしてきた証拠なのである。本当は、仕事は「できている」のである。
だから、落ち込む必要はない。誰でも苦手な仕事はあるし、ミスもする。仕事上のミスや苦手分野があるのは、むしろ人間として当然なのである。
このように、自分に対する見方を変えてみて、これまでの実績やできていること、得意なこともあるということを再確認しよう。
人はショックを受けると、しばらくそのことが頭を離れない。そして、それに関連するネガティブな記憶(例えば、過去に起きた同様な悲劇)が掘り起こされ、ネガティブな感情を生み、さらにネガティブな記憶が掘り起こされていくという悪循環に陥る。
大切なのは、このネガティブな気持ちが膨らんでいくことを阻止することである。そのためには、自動的に自分のネガティブな部分に注目してしまう思考のベクトルを、強引にポジティブな方向に向けなければならない。
そして、それができた時、気持ちが少しずつ回復していくのである。
心が折れそうなときは、「できない」を解決する
基本的に、仕事ができない人などいない。たいてい、知識や経験が足りないだけだ。
誰でも知らないことに関しては、対応するスピードや仕事の精度が落ちる。ベテランが安定して仕事ができるのは、それまでに知識と経験を多く積んできたからだ。
つまり、仕事ができるのはその人が優秀だからというわけではない(ことが多い)。「仕事ができない」と嘆いている人は、まだ「その仕事」について経験が足りていない可能性がある。
私たちは、「知らない」と「できない」を混同しがちである。頼まれた仕事が全くの未経験(知らない)の場合、たいてい拒否反応を示す。
そして、様々な言い訳をする。
- 実績がない。
- 責任が取れない。
- スケジュールが読めない。
こうして依頼された仕事を何とかかわそうとする。
この反応は、新入社員であろうと重役であろうと同じである。誰だって未経験のフィールドに踏み出すこと、それに責任を持つことが怖いのである。
しかし、「知らない」=「できない」ではない。仕事ができる人ほどこれをよく知っていて、知らないことに対しても、まず知ることから始める。
- 過去の実績を調べる(他部署、他分野も含めて)。
- 知見を持つ人に相談する。
- 自分で試してみる
これらから自分のペースをつかみ、対応する。このように、仕事ができる人ほど未知の仕事を拒絶しない。
仕事に対して大きなハードルを感じてしまうのは、自分に知識や経験が足らないことを示している。確かに、わからないものをわからないままゼロから始めることは多大な努力と時間を要するし、効率を求められる職場において悲観的になりがちだ。
しかし、事実上、どんな仕事も結局は過去の知見の応用でしかない。仕事ができないと感じても、それは自前の知識と経験に加え、新しい知識と経験を組み合わせれば、「できない」は解決できる。
できないと感じるのは、新しい知識と経験に出会っていないために、解決できる気がしないからに過ぎない。
心が折れそうなときは、「認識」を変える
会社で働く会社員は、上司、同僚、関連部署と密に連絡を取り合い、随時連絡、報告もする。これらがスムーズであるほど、認識の違い、見落とし、連絡ミスを防ぐことが出来、目標の納期に向けたスケジュールを管理しやすくなる。
しかし、こうしたコミュニケーションが苦手な人には、仕事そのものが難しい。こうした人々には以下のような特徴がある。
・一人で抱え込む
人とのコミュニケーションを避けようとするため、一人で抱え込みやすい。その結果、人に聞けない、相談できない、頼めない。報告・連絡・相談が遅い、という症状が現れる。
・優先度がバラバラ
業務上の優先度よりも、自己都合を優先するため、苦手な仕事を先送りする。その結果、効率的な仕事の進め方にならず、全体的に仕事のスピードは遅くなる。
つまり、仕事ができない人は、知識や経験が足りないとか、基礎知識がないとか、やる気の問題ではなく、コミュニケーションを避けたがる性格的なものが、本来の仕事スキルを抑制している可能性がある。
業務上、重要なコミュニケーションを避けたがる傾向が認められる人は、コミュニケーションを取ろうとするときに自動発生する不安や恐怖心を緩和する必要がある。そのためには、以下のように認識を変えよう。
・自分に対する認識を変える
他人とコミュニケーションを取ることに不安や恐怖を感じる人は、自分に対する評価が著しく低い。
彼らはコミュニケーションを取ろうとした瞬間に、怒られるに違いない、拒絶されるに違いない、追及されて自分の努力不足を指摘されてしまう、という思いに襲われる。
しかし、これは間違いだ。あなたは十分に頑張っているし、欠くことのできない大事な組織のメンバーだ
そして、みんなあなたの正直な意見を聞きたがっている。そうしてお互いの理解不足な点や知識不足な点を補い合ったり、あやふやな部分を明確にしようとしているのだ。
問題は、あなたが責められるかどうかではない。同じ目標を目指す職場の同僚として意見を求めているのである。
・他人に対する認識を変える
コミュニケーションが苦手な人にとって、他人は怖い存在に感じられる。彼にとって他人は、いつか自分の欠点を指摘してやろうと常に自分を見張っている存在なのだ。
しかし、これも完全なる誤解だ。そんな悪意に満ちた人間など、存在しない。
職場の人々は、あなたを仕事のメンバーとして対等な人間関係を築いている(と考えている)。だから、お互いに言いたいことを言い、聞きたいことを聞いて当たり前だと考えている。
あなたが目の前の人に対し、勝手に上下関係を築いている限り、コミュニケーションの際の不安や恐怖は消えない。そうではなく、家族や友達のように、職場の同僚や上司とも対等な関係を築くことができれば、コミュニケーションはもっとスムーズに行えるようになる。
まとめ
仕事ができないという悩みは、たいていが考えすぎか知識がないか自信がないために発生する。そしてその克服の方法もそれぞれ存在する。
一番問題なのは、仕事ができないという悩みをうやむやにし続けることだ。これではいつまでたっても仕事ができないという悩みから解放されることはない。
重要なのは、問題に向き合うこと。なぜ自分は仕事ができないのか。
この問題にゆっくりじっくり向き合うことができた時、その原因と対策が見えてくるのである。