政治、経済、学術、芸術、芸能、あるいはアンダーグランド。
どこの世界にも、傑出した結果を残す「成功者」が存在する。
成功者たちは、例外なく特殊な「思考の習慣」を身につけている。
彼らのものの見方、考え方、感じ方は、庶民のそれとはまるで違っていて、この違いが行動力や結果の差となって現れる。
「成功者」と聞くと、目標に向かって猪突猛進、強引とか剛腕といった、雑なイメージがある。
しかし、実際に彼らの「思考の習慣」を見てみると、非常に繊細かつ丁寧に脳内で起きた諸問題の解決にあたっている。凡人の方がよほど雑である。
それでは、成功者たちが必ず実践している「思考の習慣」について、解説しよう。
思考の重要性
成功者の思考の習慣を解説する前に、思考の重要性について解説しておこう。
日常の思考フロー
私たちの日常は、「認知→感情→思考→行動→認知(最初に戻る)」の繰り返しである。
- 認識…前提や背景の理解をもとに、状況を把握する。
- 感情…自分が置かれた状況に対して、感情がわく。
- 思考…状況と感情を比較して、行動するか否かの判断、行動する場合はその内容を計画する。
- 行動…判断に基づき、行動する。
- 結果の認識(最初に戻る)…行動の結果を受けて、状況を再認識する。
ここで注目したいのは、「行動」の前に、「認識」、「感情」、「思考」という3つものステップを踏んでいることである。
行動力の源泉とは
幸か不幸か、私たちはプログラムされた単純な機械ではない。
行動しようとしても動かないのが現実で、たいていダイエットもTOEICの勉強も続かない。
その原因は、「認知」、「感情」、「思考」のどれかが「行動」にブレーキをかけてしまっているからである。
成功者はこのメカニズムをよく理解していて、常に「認知」、「感情」、「思考」がすべて青信号になるようなケアを習慣化させている。
これが爆発的な行動力や継続的な集中力の源泉である。
つまり、成功者の行動力、社交性、たゆまぬ努力は決して天性のものではない。
思考の習慣がこれらを可能にしているのである。
成功者の思考習慣
成功者たちが日常、無意識的に行っている脳内活動を思考フローに沿って解説する。
認識
成功者は、自分の立場、役割、使命、責任、あるいは信念、野心をよく理解している。
だから、自分に課せられた(あるいは自分に課した)課題や目標に対して、
- なぜ、自分がそれを解決、実現する立場にいるのか。
- なぜ、その課題や目標を乗り越えなければならないのか。
という必然性の理解が深い。
この理解の深さがすべての思考の土台となっており、成功者は例外なくここがしっかりしている。
そして、状況の分析も精密かつ正確である。
できること、できないこと、あるもの、ないもの、強み、弱みなどの見極めが厳格。
そこに無責任な希望的観測はなく、不明確なままにしない。
また、特徴的なのは、課題解決や目標達成することを疑わない点である。
それは前提であり、できることとか、ないもの、強み弱みから判断するわけではない。
感情
課題や目標が発生すると、次は反射的に感情がわく。
それが、「やってやろう!」「やりたい!」という前向きなものなら問題ない。
だが、常にそういうわけでもないのが人間である。
めんどくさい、やりたくない、といった感情も発生する。
成功者は、この時の負の感情を前向きなものにまとめ上げる技術に長けている。
彼らは、負の感情に対して、
- 自分の立場、役割、信念、野心、夢
- 課題解決や目標達成の意義、必要性
- できること、あるもの、強み
を再認識し、前向きな感情に回復させる。
この対応を怠ると、ネガティブ思考→逃避という凡人にはおなじみのパターンになってしまう。
つまり、このケアができるかどうかが、のちの成功と平凡を分けるのである。
思考
次に、行動のための準備のため思考を巡らせる。
前々ステップで認識している状況から、課題解決や目標達成に役立つ情報を集め、計画を立てる。
この作業は、成功の見込みが立つまで行われる。
現状から成功に至るまでの工程に、一切の不明確なものを含めない。
また、失敗した場合のダメージやリカバリ案についても考慮する。
こうして万全な準備をして、次ステップに移行する。
行動
認識が明確、感情が前向き、成功に確信、という3つを経て行動力は力強いものになる。
やるべきことへの着手はスピーディかつパワフル。
姿勢もいいから声も張り、こうして生まれた説得力が約束や協力を取り付ける。
また、集中力も高く長く続き、作業の効率も落ちない。
同時に、ミスも発生しにくくなる。
結果の認識
行動には結果、成功したり失敗したりするが、成功者の失敗の受け止め方はとても柔軟である。
失敗することによる時間等のコストは消費するが、そこに注目しない。良き面にこそ注目するのである。
例えば、失敗の中で得られた収穫や、残されている時間の余裕などに注目し、希望を感じることで前向きな感情を維持しようとする。
成功者は立ち止まることを好まない。
失敗して落ち込んだり、失敗を恐れて状況を停滞させることが最も避ける事態と考えている。
ゆえに、目の前の成功や失敗にこだわることはない。
習慣形成の要因
それではなぜ、成功者と庶民とで思考の習慣が異なるのだろうか。
その理由は様々だが、成功者は挑戦や継続から逃げられない状況に置かれていることで共通している。
人から行動力を奪う主要因は感情にある。
課題や目標を目の前にして「やりたくない」という気持ちが発生したとき、たいていの人はそれを正当化する言い訳を探す。
- 実績がない。やったことがない。
- できない。できる人がいない。
- 時間がない。お金がない。
- 責任取れんの?
だから、「やらないことは仕方がないことなのだ」と自分や周囲の人を説得する。
ところが成功者は、そんな言い訳ができない環境に身を置いている。
彼らが行動を起こさないことは、部下や社員やスポンサー、応援してくれた友達や家族、あるいは自分自身を裏切ることになる。
彼らはそれを絶対に許せない。絶対に期待を裏切りたくない。
だから、逃げそうになる自分を引き留め、踏ん張れるのだ。
成功への道は、個人的な夢や目標を追いかける過程かもしれないが、自分の欲を満たすためだけにそこまで頑張れることはない。
信頼してくれている人を裏切れない気持ちが、様々な困難や挫折を克服させるのである。
まとめ
誰もが成功者になりたいと思う。
しかし、あんな人になれっこない、という考え方こそまさに凡人の考え方。
成功者になりないなら、まず、「成功者になれる」ということを前提に物事を考えることから始めよう。
さて、どんな世界でどんな成功を収めてやろうか。