「ありのまま」の本当の意味とディズニーの罪

「ありのままの自分でいい。」
この言葉に癒しを感じる人は少なくない。
まるでコンプレックスだらけの自分を受け入れてくれるような、謎の安心感がある。

しかし、この言葉には注意が必要である。
なぜなら、「ありのままの自分でいいなら、これ以上努力する必要がない。」という解釈につながるからだ。

努力の放棄は、不幸を生む。
何の努力もせず、知らないことを知らないまま、できないことをできないままにしておけば、いつまでも赤ちゃんのままだ。
もちろんそれは自分のためにならないし、自分を支えてくれる人に迷惑をかけることにもなる。

だから、「ありのままの自分でいい」などという、一時的で無責任な慰めの言葉に身をゆだねてはいけない。
自分を不幸にしないためには、何があっても努力を手放してはいけないのである。

 

ありのままとは?

森田療法という心理療法がある。
その内容は、あるがままの現状を受け入れることで、高望みや過剰な期待を手放し、無駄なプレッシャーから解放されることを目指すものである。

近年、これに似た内容の歌が流行した。
ディズニー映画「アナと雪の女王」の主題歌、「Let it go」である。

この歌は、子供向け映画の主題歌であったにもかかわらず、大人の女性に広く受け入れられた。
その異常な盛り上がりは「レリゴー現象」と呼ばれ、一部の女性はその歌を聴くだけのために劇場に何度も足を運んだという。

しかし、ありのままの自分でいることに安心してしまっていいのだろうか。
本当に、自分を変える必要などないのだろうか。

 

ディズニーの罪

「ありのままの自分でいい」というパワーワードは、正確に理解しないと危険だ。
なぜなら、努力の放棄を正当化するものになってしまうからだ。

人間の理想的な生き方は、苦労しないことではない。
成長し続けることである。

私たちは、大人になる過程で様々な経験を積み、様々な知識とスキルを身に付けた。
そのたびに、自分に対する誇りと生きることの実感を得てきたのである。

しかし、「ありのままの自分でいい。自分を変える必要はない。」という言葉を真に受けてしまうと、「もう努力しなくても良い」という間違った解釈を招いてしまう。

これでは、試練や困難からひたすら逃げ、自分を成長させる機会を失うことになる。
その結果、知らないことは知らないまま。できないことはできないまま。
そして、そんな未熟な大人が世の中にごろごろいる。

にもかかわらず、これを助長するような歌をはやらせ、しかも収束させようともしないディズニーの罪は重い。
ディズニーは「Let it go」翻訳する時、安易に「ありのまま」という言葉を使うべきではなかった。

 

「ありのまま(Let it go)」の本当の意味

成長を続けるために努力は欠かせないが、どんなに努力してもできないこともある。
努力がすべての不可能を可能にするわけではない。

そのときは、さすがにその現実を受け入れるしかない。
この時に感じる諦め、開き直り、悟りの気持ちを表したのが「let it go」という歌詞。
つまり、「let it go」とは、「仕方ないね。」くらいの意味なのである。

実際、「アナと雪の女王」の劇中、エルサは雪山に引きこもるシーンでこの歌を歌っている。
彼女は、「妹やみんなと仲良く暮らしたかったけど、無理ね。仕方ないね。」と諦め、開き直っている。

また、この歌詞には「もう二度と悩まなくていいんだ」という解放感も含まれている。
なぜなら、彼女は、もう二度と誰にも会わずに一人で生きていく決心を固めたからである。

もし、「let it go」が「今の自分のままでいい」という意味であれば、彼女は正々堂々と町の真ん中に氷の城を築いていたに違いない。
そいつはかなり迷惑な話だ。

つまり、劇中歌「Let it go」は、悲しくて、辛くて、寂しい歌なのである。
エルサが氷の女王という設定になっている理由はここから来ているのである。

 

まとめ

私たちは、自分を甘やかしてくれる言葉に弱い。
がんばらなくていい。そのままで素晴らしい。あなたのせいじゃない。
と言ってもらえると、謎の解放感と安心感が得られる。

しかし、これらの言葉に甘えていいわけではない。

私たちは、高みを目指して成長を続けるべきである。
日々、夢や目標、あるいは理想の自分に近づく努力を続けるべきだ。

重要なのは、努力をした結果、成功することではない。
むしろ、その過程で学び、身に付けたものの方がずっと重要だ。
それこそ、成長の歴史であり、自分が生きた証なのである。

努力を放棄した生き方は、自分を子供のままにしておくのと同じ。
それは、この世で最も不幸なことなのである。

 

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