採用に当たって面接を行わない企業はない。
書類選考からでは見えてこない、その人の個性を見て相性を判断したいのだ。
面接において面接官に好かれることは、採用に向けた大きな一歩となる。
だから、多くの転職希望者は面接官に気に入られようと必死になる。
ところが、面接官に好かれようとすればするほど、それが遠ざかってしまう。
なぜなら、それは媚びる姿勢に見えてしまうからだ。
面接官に好かれるためには、媚びずに好かれるテクニックが要る。
それでは、面接官に好かれるテクニックである、マインド武装について解説しよう。
面接対策の誤解
転職活動に面接対策は欠かせない。
なぜなら、必ず転職活動では面接が行われるからである。
面接の最大の特徴は、直接会って話すという形式にある。
だから、転職希望者は面接官に気に入られるような応答をできるように準備する。
しかし、ここに誤解がある。
面接で重要なのは、面接官に気に入られることではない。
例えば、あなたが服を買うとき、必死に売り込んで来る店員さんから勧められた服を買うだろうか。
たいてい、うっとうしいと感じるはずだ。
欲しい服のイメージが明確な場合、それは自分で探したいと思うはず。
それを外から不要な情報を押し込んでくる人は、邪魔で仕方がない。
これと同様に、面接では必死になればなるほど嫌われる可能性がある。
思い出してほしいのだが、私たちは希望条件に合う仕事を手に入れたくて転職を開始する。
面接官に好かれるために転職するわけではない。
その意識を面接の場でも忘れてはいけない。
注目するべきは、未来の仕事であって面接官ではない。
ここを誤解したままだと、転職は難しい。
面接官に好かれる人のマインド
面接は、直接人と会って話すことで行われる。
ここで面接官にいい印象を与えることができれば、採用に向けて大きく前進する。
しかし、この「いい印象」とはどんな印象なのだろうか。
企業が募集する人材像は、共に一生懸命働ける同僚である。
なんでもいうことを聞いてくれる奴隷を探しているわけではない。
しかし、多くの転職希望者が面接官に気に入られようとする姿勢は、まるで奴隷になりたがる人間に見える。
こうしてミスマッチが生まれる。結果はもちろん不採用だ。
面接官に好かれる人ほど、面接官に好かれようとしていない。
意識は常に「自分のやりたい仕事」に向けられており、面接における質疑応答などオプションくらいにしか考えていない。
そこに生まれるのは大人と大人の対等な関係。
この対等な関係を築けたとき、良い印象が生まれる。
良い印象が生まれると信用が生まれ、その人のポジティブな部分を掘り下げようとしてくれる。
ポジティブな部分を掘り下げてもらえると、さらに良い印象を持ってもらえる。
このように、転職を成功させる人というのは、決して自分を下げないことで気に入られ、その後に面接官から勝手に掘り下げてくれるポジティブな部分に答えるだけでいい。
転職を成功させる人にとって面接は、勝利をもぎ取るというイメージではない。
なんだか楽しく話していたら、そのまま内定が出た。
そんな感じである。
このような結果を生む原因は、転職に対する認識、意識の持ち方にある。
面接官に好かれる人は、転職活動において「自分のやりたい仕事」の一点に意識を集中していて、面接官に好かれようとする意識は希薄。
この適度な脱力具合が、面接官としては話しやすく、印象もいい。
その場の会話も盛り上がり、コミュニケーション能力が高いという判断も出る。
要するに、面接で重要なのは面接官に好かれることではない。
やりたい仕事に就きたいという思いを面接会場から出るところまで、意識し続ける事なのである。
転職を成功させる人は、それが自然にできている。
面接官に好かれるマインドを作る方法
世の中は面白いもので、手に入れようとすればするほど、たいてい手に入らない。
お金を貯めたい人ほど、お金は出て行く。
痩せたい人ほど、太っていく。
好きな人にアプローチするほど、嫌われる。
しかし、意識をもっと遠くに持っていくことができた時、その手前にある目標が達成される。
お金をためて海外旅行に行く計画に意識を向けていると、お金は貯まる。
結婚式でやせた写真を残したいと考えていると、ダイエットは苦痛でなくなる。
好きな人を諦めてから、逆に誘われたりする。
転職も同じ。転職で意識するべきなのは、常に自己実現。
面接官に好かれるという結果は、そのあとについてくるものなのだ。
これを実現するためには、転職を自己実現の手段として意識できるまで、転職の必要性についてもっと深掘りしなければならない。
- どのように生きたいのか。人生の目標は。
- その人生で仕事はどのような役割を果たすべきなのか。
- 働くことで得られるお金よりも価値の高いものとは。
- 最も大切にしている信念は。
これらが明確にできた時、意識は自己実現に向かう。
その結果、過剰に面接に緊張することはなく、面接官に好かれようとする意識も芽生えない。
これが逆に功を奏するわけである。
どんな場面でも視野が狭い人は必ず負ける。
転職活動で、面接官に好かれようと下手に出る人が面接官に好かれるはずがない。
しかし、人生観や仕事観を深掘りし、転職の必要性を理解できている人は、面接官に媚びることがない。
それは自分を下げることになるからだ。
はたして転職するにあたり、仕事観や人生観を深掘りできているだろうか。
そこが転職の成功と失敗を明確に分けてしまうのである。
まとめ
面接を転職活動の最難関だと考えている人がいる。
しかし、逆だ。面接こそ最も対策しやすいステップだ。
面接にまでたどり着いたら勝てると思って良い。
ただし、人生観、仕事観が深掘りできていれば。
面接官に好かれることは重要だが、それが唯一のゴールではない。
転職はあくまで自己実現の手段であり、面接はその一ステップに過ぎない。
面接官に好かれることをゴールに設定してしまうと、その瞬間に勝利が遠のく。
媚びるような人とは誰も仕事をしたがらないからだ。
書類選考にせよ、面接にせよ、企業の選択にせよ、常に意識は自己実現になければならない。
そこから眼をそらした瞬間、転職活動は人生破壊への道に変貌するのである。